Adobe Color 完全ガイド

デザイナー必見の無料ツール!
Adobe Colorは、デザイナーやアーティストにとって欠かせない、強力な無料オンラインツールです。色使いに悩んだ時、画像からカラーパレットを抽出したい時、あるいはカラーテーマを共有したい時など、様々な場面で活用できます。
この記事では、Adobe Colorの機能、使い方、活用事例、そしてTipsまでを網羅的に解説し、初心者の方でもAdobe Colorをマスターし、創造性を最大限に引き出せるよう、丁寧にガイドします。

Adobe Colorとは?
Adobe Colorは、Webアプリとクリエイティブコミュニティが一体となったサービスです。以前はAdobe Kulerという名称でしたが、2014年にCreative Cloudファミリーとの整合性を高めるためにAdobe Colorに改名されました。(参考: Adobe Color 公式サイト) ユーザーはカラーテーマを作成・共有したり、他のユーザーの作品からインスピレーションを得たりすることができます。写真家、デザイナー、映像クリエイターなど、ビジュアルに関わるあらゆるクリエイターにとって、デジタルカラーの世界を視覚化し、無限のインスピレーションを提供してくれる便利なツールです。

Adobe ColorはCreative Cloudの一部であるため、Creative Cloud LibrariesまたはAdobe Colorオンラインサービスを通じて、デスクトップアプリとモバイルアプリの両方でカラーテーマを使用できます。Creative Cloudは、デスクトップとモバイルに対応した世界最高峰のクリエイティブアプリを結集し、よりつながりのある制作と共有の方法を提供します。Adobe Colorは無料で利用できます。color.adobe.com にアクセスすれば、誰でもすぐにカラーパレットの作成を試すことができます。
あわせて読みたい
Adobe Colorの主な機能
Adobe Colorには、カラーテーマの作成に役立つ様々な機能が搭載されています。主な機能は以下の通りです。
- カラーホイール: 色相、彩度、明度を直感的に操作してカラーテーマを作成できます。
- カラーハーモニー: 補色、類似色、トライアドなど、配色ルールに基づいたカラーテーマを自動生成できます。これにより、色の組み合わせに悩むことなく、調和のとれた美しいカラーパレットを簡単に作成できます。
- カラーテーマの抽出: 画像をアップロードし、その画像からカラーパレットを抽出できます。これは、既存のイメージから色を抽出したい場合に非常に便利です。
- グラデーションの作成: 画像から美しいグラデーションを抽出したり、最大16色のグラデーションを作成したりできます。Webデザインやイラスト制作などに役立ちます。
- カラーテーマの保存: 作成したカラーテーマはCreative Cloud Librariesに保存し、他のAdobe製品と連携できます。一度作成したカラーテーマを、様々なプロジェクトで再利用できます。
- アクセシビリティツール: 色覚異常の方にも見やすい配色かどうかをチェックできます。アクセシビリティに配慮したデザインを作成する際に役立ちます。
- コミュニティ機能: 他のユーザーが作成したカラーテーマを閲覧したり、自分のテーマを共有したりできます。他のクリエイターの作品からインスピレーションを得たり、自分の作品を世界に発信したりできます。
- トレンドの発見: Adobe StockやBehanceのコミュニティで人気のあるカラーパレットを参考にできます。最新のカラートレンドを把握し、デザインに反映できます。
色のシステム
デジタルメディアや印刷メディアで色を扱う際には、様々な色のシステムが使われます。Adobe Colorでは、これらのシステムを理解し、適切に使い分けることが重要です。
- RGB (赤、緑、青): 画面上で使用されるすべてのデジタルカラーの基礎となるカラースキームです。 コンピューターモニターやテレビ画面など、光を発するデバイスで使用されます。光の三原色とも呼ばれ、赤、緑、青の光を混ぜ合わせることで様々な色を表現します。
- CMYK (シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック): 印刷で使用されるカラースキームです。 インクの三原色と黒(Key plate)の4色を重ねて印刷することで色を表現します。RGBと比べて表現できる色の範囲が狭いため、印刷前にCMYKに変換する必要があります。
- 16進コード: 主にWebデザインで使用される、RGBカラーを指定するための6文字の英数字の組み合わせです。 例えば、#FF0000は赤色を表します。
Adobe Colorを使うメリット
Adobe Colorを使うことで、デザインワークフローを効率化し、より質の高い作品を制作することができます。主なメリットは以下の通りです。
- 調和のとれたカラーパレット: 配色ルールに基づいたカラーパレットを作成することで、視覚的に美しいデザインを実現できます。
- インスピレーションの源泉: コミュニティで共有されている膨大な数のカラーパレットから、新しいアイデアやインスピレーションを得られます。
- 画像分析による効率化: 画像からカラーパレットを自動抽出することで、配色作業を効率化できます。
- アクセシビリティの向上: アクセシビリティツールを使って、より多くの人に見やすいデザインを作成できます。
- Adobe製品との連携: Creative Cloud Librariesを通じて、Photoshop、IllustratorなどのAdobe製品でカラーテーマを共有できます。
- 時間短縮: Adobe Colorの直感的なインターフェースにより、カラーパレットの作成にかかる時間を短縮できます。
- 画像とデザインの外観向上: Adobe Colorはお気に入りのテーマを整理し、自身の作品に取り入れる方法を考えるのに役立ちます。
- カラー理論と実践の橋渡し: 初心者でも簡単にカラー理論を理解し、実践に活かすことができます。経験豊富なデザイナーにとっても、効率的に美しい配色を作成するのに役立ちます。
カラーホイールの使い方
カラーホイールは、Adobe Colorの主要な機能の一つです。カラーホイールを使って、色相、彩度、明度を調整し、カラーテーマを作成することができます。
カラーホイールの操作方法
- color.adobe.com にアクセスし、「作成」タブを選択します。
- カラーホイールが表示されるので、カラーマーカーをドラッグして色を調整します。
- 左側のメニューからカラーハーモニーを選択すると、配色ルールに基づいたカラーテーマが自動生成されます。
- 各カラーマーカーの下にあるスライダーで、色の彩度や明度を調整することもできます。
- 作成したカラーテーマは、「保存」ボタンをクリックしてCreative Cloud Librariesに保存できます。
カラーハーモニーの種類
Adobe Colorでは、以下の10種類のカラーハーモニーを選択できます。

類似色
カラーホイール上で隣り合う色を組み合わせた配色です。これらの色は通常、互いにうまく調和し、一般的に目に心地よいです。

モノクロマティック
1つの色相を基調とした、彩度と明度が異なる色の組み合わせです。この配色ルールは、同じ色相を共有するが、彩度と明度の値が異なる5色を返します。モノクロマティックカラーは、落ち着いた効果を生み出すためにうまく機能します。

トライアド
カラーホイール上で正三角形を描くように配置された3色を組み合わせた配色です。

補色
カラーホイール上で正反対に位置する色を組み合わせた配色です。

分割補色
2組の補色を組み合わせた配色です。

正方形
カラーホイール上で正方形を描くように配置された4色を組み合わせた配色です。

コンパウンド
類似色と補色を組み合わせた配色です。

シェード
1つの色相を基調とした、明度が異なる色の組み合わせです。

カスタム
自由に色を組み合わせた配色です。
Adobe Colorのカラーホイールでは、画像からカラーパレットを抽出する際に、フォーカスポイントを指定することで色の選択をカスタマイズできます。また、抽出された色を使ってグラデーションマップを作成することもできます。
カラーテーマの作成と保存
Adobe Colorでは、カラーホイールだけでなく、画像からカラーテーマを抽出することもできます。
画像からのカラーテーマ抽出

- color.adobe.com にアクセスし、「抽出」タブを選択します。
- 画像をアップロードするか、Adobe Stockから画像を選択します。
- Adobe Colorが自動的に画像を分析し、カラーパレットを生成します。
- カラーパレットは、画像内のカラーマーカーをドラッグして調整できます。
- 「カラームード」を選択することで、カラーパレットの雰囲気を調整することもできます。
- 作成したカラーテーマは、「保存」ボタンをクリックしてCreative Cloud Librariesに保存できます。
PhotoshopやIllustratorで作成したアートワークからテーマを保存することもできます。
- Photoshopでは、スウォッチパネルから「スウォッチを読み込み」を選択し、.aseファイルを選択することで、カラーテーマを読み込むことができます。
- Illustratorでは、スウォッチパネルで新しいカラーグループボタンをクリックし、グループに名前を付けて「選択したアートワーク」を選択することで、カラーテーマを作成できます。
カラーテーマの保存と共有
Adobe Colorで作成したカラーテーマは、Creative Cloud Librariesに保存することで、他のAdobe製品と連携できます。
- カラーテーマを作成後、「保存」ボタンをクリックします。
- 保存先となるCreative Cloud Libraryを選択し、カラーテーマに名前を付けて保存します。
- Photoshop、IllustratorなどのAdobe製品でCreative Cloud Librariesパネルを開くと、保存したカラーテーマにアクセスできます。
グラデーションの作成
Adobe Colorでは、画像からグラデーションを抽出したり、オリジナルのグラデーションを作成したりすることができます。
画像からのグラデーション抽出
- color.adobe.com にアクセスし、「グラデーションを抽出」タブを選択します。
- 画像をアップロードするか、コンピュータから画像を選択します。
- Adobe Colorが自動的に画像を分析し、グラデーションを生成します。
- グラデーションの色や位置は、画像内のカラーマーカーをドラッグして調整できます。
- 「グラデーションストップ」の数を選択することで、グラデーションに含める色の数を2から15の間で調整することもできます。
- 作成したグラデーションは、「保存」ボタンをクリックしてCreative Cloud Librariesに保存できます。
オリジナルのグラデーション作成

Adobe Colorでは、最大16色のグラデーションを作成できます。グラデーションの作成には、Adobe IllustratorなどのAdobe製品を使用します。
- Illustratorでグラデーションツールを選択し、オブジェクトにグラデーションを適用します。
- グラデーションパネルで、グラデーションの種類(線形、放射状、フリーフォーム)を選択します。
- グラデーションスライダーで、色のブレンド位置を調整します。
- カラーストップをダブルクリックして色を変更したり、新しいカラーストップを追加したりできます。
- グラデーションの角度や長さは、オブジェクト上でグラデーションツールをドラッグして調整できます。
Adobe Colorと他のAdobe製品との連携
Adobe Colorで作成したカラーテーマは、Creative Cloud Librariesを通じて、Photoshop、IllustratorなどのAdobe製品と連携できます。Creative Cloud Librariesを使用すると、特定のプロジェクト、クライアント、またはチームのデザイン要素を収集し、Creative Cloudアプリのいずれかで利用できます。ライブラリを使用すると、初期のイメージをPhotoshopやIllustratorで作成する場合でも、InDesignで印刷用資料を作成する場合でも、プロジェクトのライフサイクル全体を通して、プロジェクトに同じ要素を確実にアクセスできます。
Photoshopとの連携
PhotoshopでAdobe Colorのカラーテーマを使用するには、以下の手順に従います。
- PhotoshopでCreative Cloud Librariesパネルを開きます。
- 使用したいカラーテーマを選択します。
- カラーテーマのスウォッチをクリックすると、その色がPhotoshopのカラーピッカーに反映されます。
標準のプリロードされたカラーライブラリ(Pantoneカラーブックとも呼ばれます)は、Adobe Illustrator、InDesign、Photoshopから廃止されました。クリエイティブワークフローでPantoneカラーを使用するには、Adobe Exchangeで入手可能なPantone Connectプラグインを介してPantoneライセンスを取得する必要があります。(参考: Adobe 公式ブログ [Pantoneカラーライブラリの廃止に関する情報へのリンク])
Illustratorとの連携
IllustratorでAdobe Colorのカラーテーマを使用するには、以下の手順に従います。
- IllustratorでCreative Cloud Librariesパネルを開きます。
- 使用したいカラーテーマを選択します。
- カラーテーマを右クリックし、「テーマをスウォッチに追加」を選択します。
- スウォッチパネルに、カラーテーマの色が追加されます。
Premiere Proとの連携
Premiere Proのベータ版では、新しいカラーマネジメントシステムが導入されました。このシステムは、ほぼすべてのカメラからのRAWおよびログフッテージを自動的に見栄えの良いSDRおよびHDRに変換するため、ユーザーはLUTの管理に費やす時間を減らし、すぐに編集を開始できます。
Adobe Color活用Tips
Adobe Colorをより効果的に活用するためのTipsをご紹介します。
- カラームードを活用: 画像からカラーテーマを抽出する際に、「カラームード」を選択することで、カラーパレットの雰囲気を調整できます。例えば、「鮮やか」や「落ち着いた」など、イメージに合ったカラームードを選択することで、より効果的なカラーパレットを作成できます。
- アクセシビリティツールを活用: アクセシビリティツールを使って、色覚異常の方にも見やすい配色かどうかをチェックしましょう。多くの人にとって見やすいデザインを作成することは、アクセシビリティの観点から非常に重要です。
- コミュニティを参考に: 他のユーザーが作成したカラーテーマを参考にしたり、自分のテーマを共有したりして、コミュニティを活用しましょう。コミュニティに参加することで、新しいアイデアやインスピレーションを得たり、自分の作品を世界に発信したりできます。
- トレンドをチェック: Adobe StockやBehanceのコミュニティで人気のあるカラーパレットを参考に、トレンドを把握しましょう。最新のカラートレンドをデザインに反映することで、より魅力的な作品を作成できます。
- モバイルアプリを活用: モバイルアプリを使えば、外出先でも手軽にカラーテーマを作成できます。美しい風景や印象的なオブジェクトから、その場でカラーパレットを作成し、インスピレーションを逃しません。
- ゲームデザインでの活用: Adobe Colorは、ゲームデザインのカラーパレット作成の出発点として役立ちます。ただし、複雑なアートスタイルやリアルなアートスタイルの場合は、必要に応じて色を調整する必要があるでしょう。
- 調和のとれたカラースキームを作成: Adobe Colorは、デザインを次のレベルに引き上げる調和のとれたカラースキームを作成するのに役立ちます。
Adobe Color 成功事例
Adobe Colorは、個人のクリエイターだけでなく、組織や社会にも貢献しています。
Creative Reaction Lab
Creative Reaction Labは、Adobe Colorを活用し、社会変革を目指す非営利団体です。COVID-19の流行時には、有色人種の若者向けの奨学金を立ち上げ、24,500ドルを配布しました。また、新しいデザインフレームワークを定義し、広く普及させています。「Artwork for Equity」などの社会的大義のためのデザインチャレンジも主催しています。(参考: Creative Reaction Lab 公式サイト)
まとめ
Adobe Colorは、デザイナーやアーティストにとって、創造性を刺激し、ワークフローを効率化する非常に便利なツールです。カラーホイール、カラーテーマの抽出、グラデーションの作成、そしてCreative Cloud Librariesとの連携など、様々な機能を活用することで、より質の高い作品を制作することができます。
この記事では、Adobe Colorの基本的な使い方から、応用的なTips、そして成功事例までを紹介しました。この記事を参考にして、Adobe Colorの機能を最大限に活用し、デザインの可能性を広げてください。ぜひ、Adobe Colorを試して、その強力な機能を体験してみてください。